カスタネットはなぜ赤と青?昭和後期の小学校あるあるとゴムがユルユルになる思い出

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昭和後期の小学校あるある~カスタネットは「赤と青」

音楽の授業で使うカスタネットは、なぜか必ず赤と青の木が合わさっていた。ゴムが伸び切ってユルユルになる。

音楽の授業で配られたカスタネットは、なぜか必ず赤と青の木片が組み合わさっていました。何年も同じものを使い続けるうちにゴムは伸び切ってユルユルになり、叩くたびに手からずれてしまう。そんな経験がある方は多いのではないでしょうか。改めて思い返すと、なぜあの配色に統一されていたのか、深く考えたことがある人は少ないかもしれません。今回は、昭和後期の小学校で当たり前の光景だったこのカスタネットについて、赤と青になった理由や当時のあるあるエピソードを振り返ります。

1.カスタネットの赤と青、当たり前だと思っていませんか

小学校の音楽室で配られるカスタネットは、片方が赤、もう片方が青に塗られた木片が、ゴムひもで一つに束ねられた形をしています。親指にゴムをかけて手のひらに乗せ、指を曲げて木片同士を打ち合わせて音を出す仕組みです。当時は特に疑問を持たず、カスタネットとはこういうものだと思っていた人がほとんどではないでしょうか。全国どこの学校でも同じ配色だったこともあり、赤と青の組み合わせは、音楽の授業の定番風景として記憶に刻まれています。しかし長年クラスで使い回されるうちにゴムは伸びきり、叩くたびに手のひらの上でずれてしまう。ゴムを結び直したり、二重に巻いたりして対応した記憶がある方も多いはずです。この赤と青の組み合わせには、実はきちんとした理由があります。テレビのクイズ番組でも取り上げられたことがあるほど、多くの人が「なぜだろう」と感じてきた身近な疑問なのです。

2.そもそもカスタネットとは何か スペイン生まれの楽器

カスタネットは、スペイン語で栗を意味する「カスターニャ」が語源とされる打楽器です。スペインの民族舞踊フラメンコに欠かせない楽器で、現地では「パリージョ」とも呼ばれています。本来のカスタネットは黒っぽい木や樹脂でできた円形の板を両手に一つずつ持ち、右手には高い音、左手には低い音のものを構えて演奏します。指先を細かく動かして小刻みに音を鳴らすため、見た目以上に扱いが難しい楽器です。オペラ「カルメン」やバレエ「白鳥の湖」のスペインの踊りの場面でも使われており、情熱的なリズムを刻む楽器として世界的に知られています。日本の学校で使われる赤青のカスタネットとは形も鳴らし方も異なりますが、木片同士を打ち合わせて音を出すという基本の仕組みは共通しています。

3.日本の教育用カスタネットの原点「ミハルス」

本場のカスタネットは指先の細かな動きが必要で、幼い子どもが演奏するには難易度が高い楽器でした。そこで、指で挟んで閉じるように音を出せる簡易版の楽器が日本で考案されました。それが「ミハルス」です。名称は、考案者である舞踊家の千葉みはるさんの名前に由来しています。ミハルスは幼児のリトミック教育などで使われ、子どもでも簡単にリズムを取れる楽器として広まりました。このミハルスがさらに改良され、指で挟むのではなく手のひらに乗せて叩く、現在の教育用カスタネットの形になったとされています。指先の器用さをあまり必要としないこの形式は、集団での合奏やリズム遊びにも取り入れやすく、幼稚園から小学校まで幅広い年代の音楽教育に広まっていきました。

4.なぜ赤と青になったのか 男女兼用という発想

教育用カスタネットが誕生した当初は、男の子用は青、女の子用は赤というように、色で分けて作られていました。当時の日本では男の子は青、女の子は赤という色の固定観念が根強く、ランドセルの色分けなどと同じ発想だったといえます。ところが、青と赤それぞれの発注数がクラスや学年によって異なり、製造業者にとって在庫管理が大きな負担になっていました。多く発注された色が品切れになる一方、もう一方の色が余ってしまうといった事態も起きやすかったと考えられます。そこで考え出されたのが、一つのカスタネットに赤と青の木片を一枚ずつ組み合わせる方法です。これなら男女どちらが使っても違和感がなく、色ごとに在庫を分ける必要もなくなります。こうして誕生した男女兼用の赤青カスタネットは、扱いやすく効率のよい教材として全国の小学校に広まり、やがて教育用カスタネットの定番デザインとして定着していきました。

5.赤が下、青が上 実は配置も決まっていた

赤と青のカスタネットには、実は上下の向きが決まっています。手のひらに乗せたとき、赤い木片が下側、青い木片が上側になるのが本来の形です。とはいえ音色に大きな違いがあるわけではないため、上下を意識せずに使っていた人がほとんどではないでしょうか。授業中に先生から「向きが逆ですよ」と指摘された経験がある方もいるかもしれませんし、逆に一度も指摘されずに卒業した方も多いはずです。小さな道具ながら、こうした細かい決まりがあったこと自体、あまり知られていない事実といえます。当たり前のように使っていた教具の中に、意外と知らないルールが隠れているのは面白いところです。

6.ゴムが伸び切ってユルユルになる、昭和の小学校あるある

昭和後期の小学校では、カスタネットは個人持ちの場合もあれば、音楽室に据え付けの備品として学年をまたいで使い回される場合もありました。何年にもわたって多くの子どもの手を渡り歩いたカスタネットは、ゴムひもが伸びきってユルユルになっているものが少なくありませんでした。演奏中に手からするりと抜け落ちてしまい、慌てて拾い直した経験がある方も多いのではないでしょうか。中には、伸びたゴムを指で軽くねじって長さを調整したり、二重に巻いて締め直したりする「裏技」を編み出す子どももいました。

木片についた傷や色あせも年季の証で、誰が使っていたか分からないほど使い込まれたカスタネットには、独特の味わいがありました。名前を書いたシールが貼られていたり、油性ペンでイニシャルが書かれていたりするのも、当時ならではの光景だったといえます。合奏の練習中にゴムが切れてしまい、先生に新しいものと交換してもらうという一幕も、多くの学校で見られたのではないでしょうか。

友達同士で「誰のカスタネットが一番よく鳴るか」を比べ合ったり、木片同士がぶつかる音の大きさを競い合ったりした記憶がある方もいるはずです。授業が終わると、音楽バッグや巾着袋にカスタネットとリコーダー、鍵盤ハーモニカを一緒にしまって持ち帰るのも定番の光景でした。何気ない教具のひとつでありながら、ゴムのユルユル感や木の匂い、打ち合わせたときの乾いた音まで、鮮明に思い出せるという方は少なくないでしょう。

ゴムが伸びてしまう最大の理由は、単純に長年の使用による経年劣化です。ゴムひもは他の部品に比べて消耗が早く、毎年多くの子どもが力いっぱい指を曲げ伸ばしすることで、少しずつ弾力を失っていきます。買い替えのタイミングが学校ごとにまちまちだったこともあり、クラスによって「よく鳴るカスタネット」と「ユルユルで使いにくいカスタネット」が混在していたのも、あるあるのひとつといえるでしょう。

7.今のカスタネットはどう変わった?

現在の教育用カスタネットも、赤と青の組み合わせを基本としたものが引き続き販売されていますが、水色とピンクなど、従来とは異なる色合いのものも登場しています。男女で色を分けていた時代の名残から生まれたはずの赤青カスタネットが、今度は色そのものを見直す動きにつながっているのは興味深いところです。素材についても、もともとは桜の木が使われていましたが、現在ではブナや栗などさまざまな木材が使われるようになりました。全音楽器やヤマハといった楽器メーカーからも販売されており、幼稚園や保育園のリトミック教育、小学校の音楽の授業で今も広く使われています。価格も数百円程度と手頃で、時代とともに色や素材は少しずつ変化していますが、シンプルな構造と扱いやすさは昭和の頃からほとんど変わっていません。

8.まとめ 小さな道具に宿る大きな思い出

赤と青のカスタネットが誕生した背景には、男女兼用にすることで在庫管理を効率化するという、当時の製造事情がありました。単なる色分けの偶然ではなく、きちんとした理由があったことが分かります。スペイン生まれのカスタネットが、千葉みはるさんの手による「ミハルス」を経て日本の教育現場に合う形に変化し、さらに製造上の都合から赤と青の組み合わせが生まれたという流れをたどると、身近な教具の奥に思いのほか長い物語が隠れていることに気づかされます。

そして、伸びきったゴムをなんとか工夫して使い続けた記憶は、昭和後期に小学校時代を過ごした多くの人にとって共通の思い出ではないでしょうか。何気なく使っていた教具にも、こうして調べてみると意外な歴史が隠れているものです。次に音楽室や子どもの手元でカスタネットを見かけたときは、赤と青の由来やあの頃のユルユルのゴムの感触を、ふと思い出してみてはいかがでしょうか。


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